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シカやイノシシなど食害を及ぼす有害鳥獣捕獲の担い手となるハンター(狩猟者)の減少や高齢化を背景に、若手ハンターを育成・確保しようと、千葉県は9日から「県新人ハンター入門セミナー」の参加者の募集を始めた。県単独では初となるセミナーは来月開催。猟銃の実射見学やベテランハンターによる狩猟講座、房州ジビエの試食などを通じ“ハンター生活”の魅力を伝え、若手不足の解消を目指す。
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◆6~7割が60歳以上

 県自然保護課によると、県内の狩猟免許交付件数は、1978年度の2万653件をピークに年々減少。過去5年間では、2011年度7115件、12年度6015件、13年度6048件、14年度6138件、15年度5852件。このうち60歳以上の比率は、1978年度で9・4%だったが、2011年度64・8%、12年度66・3%、13年度69・3%、14年度70・2%、15年度66・6%とここ5年は6~7割を占め、高齢化が顕著となっているという。

 高齢化による認知能力低下に伴う事故への懸念もある。警察庁のまとめによると、猟銃による死亡事故は06~15年に全国で52件。うち銃の暴発が25件、獲物との誤認が16件、弾の到達先の不確認は11件だった。

 全国的にもハンターの若手不足は顕著で、徳島県那賀町では昨年12月、小型無人機ドローンを使ってハンターを支援する実験も行われている。同県の担当者は「昔は食料調達や革製品の製造など趣味と実益を兼ねたハンターも多かったが、費用対効果や免許更新などの手間が敬遠の一因かもしれない」と分析し、後継者育成や負担軽減を図る。若手ハンター育成に携わる徳島大の内藤直樹准教授(文化人類学)は「なり手不足と高齢化は誤射事故にもつながる。ベテランが若い世代に技術を継承できる環境づくりが急務だ」と話す。

◆房州ジビエ試食も

 千葉県のセミナーは、狩猟に興味があるが、どのように始めたら良いのか分からない-といった若者や女性が主な“ターゲット”。

 県自然保護課によると、狩猟期間(11月15日~2月15日)があるため、ハンターだけで生計を立てるのは難しいが、狩猟した獲物を使った房州ジビエ料理や有害鳥獣駆除といった社会的貢献などの魅力もある。

 一方で、住宅付近での銃猟、猟犬や狩猟者のマナーへの苦情、建物等への被弾、禁止区域での狩猟などハンターへの苦情もあり、ルールやマナーの順守も大切。

 セミナーは、職員によるルールと免許試験などの説明のほか、ベテランハンターによる狩猟講座、猟銃の取り扱い講座、猟銃の実射見学などのワークショップ、房州ジビエの試食、狩猟免許取得相談など多彩に行う。

 同課では「狩猟を知らなくても気楽に参加してもらい、少しでも興味を持ってもらえれば。その中から1人でも狩猟免許を取得してハンターになろうという方が出てきてほしい」と話している。

 セミナーは3月12日正午~午後5時、県射撃場(市原市古敷谷)で開催。定員は30人で募集期間は今月23日まで。費用は無料。問い合わせは同課狩猟班、電話043(223)2972。

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